つがやす薬局ブログ

各店舗からの情報発信をしています

~被災地支援活動~

晩秋の候、

朝、晩めっきり気温が低くなって参りました。

こんにちは。薬剤師のYです。

 

今回私は、有休をいただき兼ねてから気になっておりました、

福島県南相馬市へ被災地支援活動に赴きました。

そこでの出来事をご紹介したいと思います。

 

前日、東京駅から夜行高速バスに乗車し当日早朝福島駅前に到着しました。

車中その間、一睡もできず現地に赴くことになったわけです。

連休中ということもあり、バス乗り場は混雑しておりました。

こんなに夜行バス利用者が多いことを初めて知る機会になりました。

    

現地駅前からセンターまで交通機関がないため、担当者の方にセンターまで送迎をお願いし、

福島県南相馬市災害復旧復興ボランティアセンターに到着しました。

車中担当者の方が、旧警戒区域においてすべての市町村でボランティアセンターが立ち上がっているわけではなく、未だに立ち上がる目途も立っていないところもあると言っていました。同じ社会福祉協議会でも市町村によって差があるんだなと思いました。

  

ここは、南相馬市の震災復旧・復興のために「南相馬市社会福祉協議会」が運営しているボランティアセンターです。(通称:社協ボラセン)

もともとこの建物は、就業改善センターとして利用されており

本年4月よりこちらを使われています。

 

受付を行い、マッチングが行われる部屋へ行くと

そこには、自分より歳上の方が20名ほどおられ

雰囲気から連日来ている方や地元の方々のようでした。

依頼者の氏名、場所、依頼内容、目安人員が黒板に

記載されており、担当者の方から説明がありました。

また、本日の東京電力の活動や復興文化祭

のチラシも掲示されておりました。

 

当日は、2件の依頼がきており一つは自宅の不要家財の屋外への搬出ともう一つは自宅周囲の草刈り・竹の伐採でした。

どちらを行うのか挙手で決められ、それぞれ適切な人員ならばそのまま挙手した方の活動を行うというものでした。私は、不要家財の屋外への搬出を選択しました。

次にそれぞれのグループに分かれ、その中でリーダーを決めてから社協の車に乗り合わせて現場へ向かいました。

 

現場はセンターがあるところと同じ小高区、車で10分ほどの住宅街の一角でした。

住宅一軒一軒それぞれに“除染作業中”ののぼりが周囲にたてられており除染の真っ只中の光景にでくわしました。ボラセンの担当者いわく、市内の除染は3割程度しか完了していないそうです。除染作業は、環境省の政策によって行われております。

 

我々のグループは8名で構成されており、関東や東北さらに北海道から来られている方もおられました。

依頼者宅は、外観から地震津波の被害を受けているわけでもなく十分人が居住できるようでした。玄関前の外壁脇に除染完了して検査済みの札が立ててありました。

 

作業開始前に依頼者(60歳代~70歳代のご夫婦)は、「普段は栃木県茂木市のとなり町の息子の家に避難していて今日は同じ福島県いわき市の息子の家からこちらへ入りました。帰還困難区域が解除されれば、この自宅に戻ってきて居住するつもりです。」と挨拶がありました。

屋内もやはり地震による被害はなかった様子でした。

作業は、リーダーと依頼者の打ち合わせのもと粛々と進められました。

まず一階居間にあったソファーから運びだし、居間をあけてから2階にあった本棚、ベッド、布団を居間へ降ろしてバケツリレー方式で外へ運び出しました。その間も依頼者は家財を一つ一つ思案しながら整理されていました。本棚の中には、おそらく息子さんが収集されていたのだろう漫画のシリーズがずらりと並んでおり、当時のエピソードなども話して下さいました。息子さんとの親子関係を垣間見た感じがしました。

 

作業中外は穏やかな晴天に恵まれ、我々が一つ一つ「これはどうですか?」「あれはどうしますか?」と依頼者に聞く、能動的な接し方よりは依頼者から指示があれば動く受動的なスタンスで対応することにしました。

比較的大きな家財の搬出は午前中で一段落を迎え、まだどうしようか悩まれているようでしたので、リーダーからの提案で、依頼者には他にも不用品がないか考えてもらう時間をとってもらうため、我々は一度昼食のためにボラセンに戻ることにしました。

1時間の昼食後、依頼人宅へ向かいました。

依頼内容は家財不用品の搬出でしたが、冒頭の依頼人挨拶でもあったように、こちらの自宅へ戻って暮らされるということでしたので、午後は室内の清掃を行うことになりました。

不用品を搬出した部屋は数十年もの埃がすごくて天井、冊子、蛍光灯の中、床、大掃除のように清掃しました。最後に廊下、玄関、軒下も清掃して活動は無事終わりました。

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作業完了後、最後に依頼人から挨拶がありました。

震災後、依頼人は命を失いそうな大病を患われたそうで避難しながら療養されておりました。

「こんなに自宅をきれいにしていただき、“生きる希望”をもらいました。ありがとうございました。」というお言葉を下さりました。私は、胸が熱くなりバスの中で頭、首、肩が安定せず一睡もしなかったことによる疲れも吹き飛びました。このまま居るとメンバー全員感極まりそうでしたので名残おしかったですが、早々にセンターに戻りました。

物ではなく体で人助けができた。

本当の意味での~for you~を肌で実感するとともに“また行きたい”と思うに至りました。

まさに現場には人生のドラマが・・・。

*除染:生活する空間において受ける放射線の量を減らすために、放射性物質を取り除いたり、土で覆ったりすることです。

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出典:環境省 除染情報サイトより

 

☆ボランティア活動保険について☆

 この保険は、ボランティア活動中の様々な事故によるケガや損害賠償責任を補償するものです。さらに後遺障害もフルカバーしてくれますので安心です。自宅から現地までの往路復路中の事故も対象になりますので、現地で入るよりも最寄りの社会福祉協議会へ問い合わせて加入してから活動されることをお勧め致します。

活動先の社会福祉協議会によっては、保険に加入していないと活動を拒否されることもあります。なお、帯広市社会福祉協議会は保険料の半額を補助されます。

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